海の見える場所にある「粗挽き十割そば ふく朗」へ行ってきた。
店の外観は、自然の中になじむ落ち着いた雰囲気。
店内にも木が多く使われていて、窓の向こうには海が広がっている。
食事をする場所として、雰囲気はかなり良い。
今回注文したのは、十割蕎麦と天ぷらのセット。価格は1800円だった。
最初は塩だけで食べる
テーブルには、おすすめの食べ方が書かれていた。
まずは蕎麦だけで食べ、次に塩をつける。
ワサビはつゆへ溶かさず、蕎麦へ直接のせる。
つゆにつけるのは、持ち上げた蕎麦の下半分から3分の1ほど。
最後は蕎麦湯を残ったつゆへ注いで楽しむ。
店としては、粗挽き十割蕎麦の香りや風味を、できるだけそのまま味わってほしいのだと思う。
実際に食べてみると、やはり十割蕎麦らしい食感だった。
つなぎを使っていないため、二八蕎麦のような滑らかな喉越しとは違う。
良く言えば、蕎麦そのものを食べている感覚が強い。
自分の感覚で率直に言えば、少しボソボソしている。
もちろん、これは失敗しているという意味ではない。
十割蕎麦ならではの特徴だと思う。
ただ、自分が普段「蕎麦を食べたい」と思ったときに求めているものは、こちらではなかった。
小ネギを見て、関東出身なのだと実感した
食べながら意外に気になったのが、薬味のネギだった。
添えられていたのは小ネギ。
自分は関東出身なので、蕎麦の薬味といえば白ネギのイメージが強い。
白ネギの香りと辛味を入れ、途中から七味を少しかけて味を変える。
それが、自分にとって馴染みのある蕎麦の食べ方だ。
しかし、この店には七味も見当たらなかった。
小ネギが間違っているわけでも、七味を置いていないことが悪いわけでもない。
それでも食べながら、
ああ、自分は関東の蕎麦を食べて育った人間なんだな。
と実感した。
料理の好みは、味覚だけで決まるものではない。
どこで育ち、これまで何を普通だと思って食べてきたのか。それも大きく影響しているのだと思う。
こだわりを「体験」と思うか、「面倒」と思うか
店がおすすめする食べ方には、きちんと理由がある。
塩で蕎麦の風味を確認し、ワサビは直接のせ、つゆへ浸しすぎない。
作り手の立場からすれば、自分たちが作った蕎麦を一番おいしい状態で食べてもらいたいのだろう。
それを含めて「十割蕎麦を味わう体験」と考える人もいると思う。
一方で、食べ方まで決められているように感じ、少し面倒だと思う人もいるかもしれない。
どちらが正解という話ではない。
店のこだわりを楽しめる人もいれば、自分の好きなように食べたい人もいる。
自分の場合、最初はおすすめの食べ方を試してみたい。
ただ、後半は白ネギや七味を使い、普段どおりに食べたくなるタイプだった。
店のこだわりが強いほど、その考え方と客の好みが合ったときの満足度は高くなる。
反対に、少しずれると「丁寧に作られているのは分かるけれど、自分には合わない」という感想にもなる。
1800円という価格は妥当だと思う
蕎麦と天ぷらのセットで1800円。
安い昼食ではない。
ただし、粗挽き十割蕎麦であること、天ぷらが付いていること、店内の雰囲気や海を眺められる立地まで考えれば、商品と価格は釣り合っていると思う。
「高すぎる」とは感じなかった。
だからといって、自分がもう一度1800円を払って同じものを食べたいかと聞かれると、少し迷う。
味が悪かったからではない。
不味くはないし、丁寧に作られていることも伝わってくる。
ただ、自分の好きな蕎麦とは少し違った。
同じ景色や雰囲気を楽しめるのであれば、次は隣のピザ屋へ行ってみたいとも思う。
ここで重要なのは、
値段に見合っていることと、自分がもう一度食べたいことは同じではない。
ということだと思う。
蕎麦への思い入れがある人ほど、違いが気になる
蕎麦を普段あまり食べない人であれば、十割蕎麦の食感や店がおすすめする食べ方を、新しい体験として素直に楽しめるかもしれない。
反対に、蕎麦に自分なりの思い入れがある人ほど、細かな違いが気になる。
二八の喉越しが好き。
薬味は白ネギがいい。
途中から七味を入れたい。
つゆの濃さや、蕎麦をどこまで浸すかにも好みがある。
それは、蕎麦に詳しい人が正しく、詳しくない人が間違っているという話ではない。
むしろ、過去に食べてきた蕎麦が多いほど、自分の中に「好きな蕎麦」の基準ができているということだと思う。
まとめ|悪い店ではない。ただ、自分の好きな蕎麦とは違った
今回食べた粗挽き十割蕎麦は、店のこだわりが伝わる一品だった。
天ぷらも付き、海を眺められる店内を含めて考えれば、1800円という価格は妥当だと思う。
ただ、自分は十割蕎麦特有のボソボソした食感より、二八蕎麦の喉越しの方が好きだった。
小ネギより白ネギが欲しかったし、途中から七味も使いたかった。
だから、店が悪いわけではない。
自分が正しいわけでもない。
おいしい蕎麦と、自分が好きな蕎麦は、必ずしも同じではない。
今回の食事で分かったのは、そんな当たり前のことだった。
蕎麦そのものの風味をじっくり味わいたい人には、面白い店だと思う。
一方で、普段から自分なりの蕎麦の食べ方が決まっている人は、その違いも含めて楽しめるかどうかで評価が変わりそうだ。


コメント