2023-24シーズン、デトロイト・ピストンズは14勝68敗に終わった。
ところが、翌2024-25シーズンには44勝38敗まで成績を伸ばし、さらに昨季は60勝22敗を記録。イースタン・カンファレンス1位でレギュラーシーズンを終えた。
わずか2シーズンで、14勝のチームが60勝のチームになった。
この急成長の中心にいたのが、ケイド・カニングハムだ。
昨季のカニングハムは平均23.9得点、5.5リバウンド、9.9アシストを記録。オールスターに選出され、オールNBAファーストチームにも名を連ねた。
正直、ここまでの活躍を見せるとは思っていなかった。
カニングハムは、ピストンズの中心選手というだけではない。今後、NBAを代表するスーパースターになれる素質を持っていると思う。
しかし、レギュラーシーズンで東1位になったピストンズは、プレーオフでは苦戦した。
1回戦ではオーランド・マジックを相手に第7戦までもつれ込み、4勝3敗で突破。続くカンファレンス準決勝でもクリーブランド・キャバリアーズと第7戦まで戦ったが、最後は3勝4敗で敗退した。
昨季の経験を成長につなげられるのか。
それとも、再びプレーオフの勝負所で経験不足が表れるのか。
今回は、2026-27シーズンのデトロイト・ピストンズについて考えてみたい。
※この記事は2026年8月4日時点で確認できた情報を基に書いています。
※順位やプレーオフ結果は、開幕前時点での個人的な予想です。
2025-26シーズンの成績
| 項目 | 2025-26シーズン |
|---|---|
| レギュラーシーズン | 60勝22敗 |
| イースタン・カンファレンス | 1位 |
| 平均得点 | 117.8 |
| 平均失点 | 109.6 |
| 平均リバウンド | 45.6 |
| 平均アシスト | 27.8 |
| プレーオフ1回戦 | マジックに4勝3敗 |
| カンファレンス準決勝 | キャバリアーズに3勝4敗 |
| 最終結果 | 東地区準決勝敗退 |
60勝22敗という成績だけを見れば、文句なしの優勝候補だった。
平均得点は117.8点。オフェンシブ・レーティングはリーグ10位だった一方、ディフェンシブ・レーティングはリーグ2位を記録した。
昨季のピストンズを支えていたのは、派手なオフェンスだけではない。
むしろ、強いディフェンスから試合の流れを作れることが、最大の強みだったと思う。
カニングハムはスーパースターになれるのか
昨季のカニングハムの活躍には、かなり驚かされた。
自分で得点を取るだけでなく、平均9.9アシストを記録し、チーム全体のオフェンスを動かした。
カニングハムにはサイズがあり、自分でシュートまで持ち込める。味方を生かすパスも出せるため、相手は得点とアシストの両方を警戒しなければならない。
ピストンズが60勝できた最大の理由は、カニングハムがチームの中心として大きく成長したことだろう。
ただし、レギュラーシーズンで活躍することと、プレーオフの勝負所を制することは同じではない。
プレーオフでは、同じ相手と何度も戦う。
得意なプレーは対策され、試合が進むほど簡単な得点は減っていく。第4クォーターの重要な場面では、相手も最も信頼できる守備をぶつけてくる。
そこで、どのように試合を組み立てるのか。
自分で決めにいくのか、味方を使うのか。ファウルを受けながら得点するのか。一度プレーを落ち着かせるのか。
昨季のピストンズには、こうした勝負所での弱さと、経験値の少なさが出たように感じた。
それはカニングハムだけの責任ではない。
若いチームが初めからプレーオフの戦い方を知っているわけではない。失敗しなければ分からないこともある。
カニングハムがスーパースターになれるかどうかは、昨季の敗退を今季にどう生かすかにかかっている。
デューレンとアサーの成長が欠かせない
カニングハムだけが成長しても、ピストンズが勝ち続けられるとは限らない。
今季のカギを握るのは、ジェイレン・デューレンとアサー・トンプソンだと思う。
デューレンは昨季、平均19.5得点、10.5リバウンドを記録した。
ゴール下での決定力とリバウンドは、すでにピストンズの大きな武器になっている。カニングハムとの連携も、チームのオフェンスを支える重要な要素だ。
アサーは平均9.9得点、5.7リバウンド、3.1アシストに加え、平均2.0スティールを記録した。
得点だけを見れば目立たないかもしれないが、運動能力と守備力によって試合へ影響を与えられる。相手の主力を守りながら、ボールを奪って速攻へつなげられる存在だ。
カニングハムがエースとして活躍しても、デューレンがインサイドを支え、アサーが守備で違いを作れなければ、東の混戦を勝ち抜くのは難しい。
この2人の活躍がなければ、プレーオフ進出そのものが危うくなる可能性もあると思っている。
今オフの補強は、本当にプラスだったのか
ピストンズは今オフ、ロスターを大きく動かした。
主な加入選手は、ジョン・コリンズ、アイザイア・ジョー、トーリアン・プリンス、ゲイリー・ハリス。
ケビン・ハーターとも再契約した。
一方で、トバイアス・ハリス、アイザイア・スチュワート、カリス・レバート、マーカス・サッサーがチームを離れた。
| 主な加入・再契約 | 主な退団 |
|---|---|
| ジョン・コリンズ | トバイアス・ハリス |
| アイザイア・ジョー | アイザイア・スチュワート |
| トーリアン・プリンス | カリス・レバート |
| ゲイリー・ハリス | マーカス・サッサー |
| ケビン・ハーター | ー |
コリンズは昨季、平均13.6得点、5.3リバウンド、3ポイント成功率40.6%を記録した。
アイザイア・ジョーも平均11.1得点、3ポイント成功率42.3%を記録している。
カニングハムの周囲にシューターを置き、ドライブやピック&ロールで使えるスペースを広げるという狙いは分かる。
個々の得点力やシュート力だけを見れば、悪い補強ではない。
それでも、自分は今のところ、今オフの入れ替えは全体としてマイナスではないかと感じている。
オフェンスはディフェンスから始まる
バスケットボールでは、シュートを決める選手が目立つ。
しかし、自分はオフェンスはディフェンスから始まると思っている。
守備で相手を止める。
ボールを奪う。
リバウンドを確保する。
そこから、相手の守備が整う前に速い攻撃へ移る。
昨季のピストンズは、若さ、運動能力、フィジカルを生かした守備から、自分たちのオフェンスを作ることができた。
だからこそ、アイザイア・スチュワートの放出は数字以上に大きい可能性がある。
スチュワートは昨季、平均10.0得点、5.0リバウンド、1.6ブロックを記録した。
出場時間や個人成績だけでは見えにくいが、身体を張り、相手とぶつかり、チームへ激しさを与えられる選手だった。
トバイアス・ハリスの経験と安定感を失った影響も無視できない。
守備で止められなくなれば、速攻の機会も減る。
速攻が減れば、相手の守備が整った状態で攻める時間が増える。
その結果、カニングハムがハーフコートで何度も難しい判断を迫られることになる。
守備で止められない
↓
速攻を出せない
↓
ハーフコートでの攻撃が増える
↓
カニングハムへの負担が大きくなる
シューターを増やせば、必ずオフェンスが良くなるわけではない。
昨季のピストンズの得点力を支えていたのは、ディフェンスから始まる攻撃だった。
今季も同じ強度を維持できるのか。
自分が今オフの補強を素直にプラスと評価できない理由は、ここにある。
必要なのは、チームをまとめる献身的なリーダー
ピストンズにはベテラン選手もいる。
ただし、年齢が高ければチームを導けるとは限らない。
自分が必要だと思うのは、チームをまとめられる献身的なリーダーだ。
カニングハムから主役を奪う必要はない。
得点を多く取る必要もなければ、常に長い時間コートへ立つ必要もない。
自分の数字や役割よりもチームの勝利を優先し、苦しい時間帯に若手を落ち着かせる。プレーオフでどのように戦うのかを、プレーと姿勢の両方で伝えられる。
そのような選手が必要だと思う。
カニングハムは、エースとしてチームを引っ張る。
その一方で、経験を持つ選手が精神面や試合運びを支える。
この二つは両立できる。
むしろ、カニングハムを本当のスーパースターへ成長させるためにも、彼を支えられるリーダーが必要なのではないだろうか。
昨季のプレーオフ経験だけで変われる可能性もある
もちろん、外部からリーダーを加えなければ成長できないとは限らない。
昨季のピストンズは、プレーオフで14試合を戦った。
1回戦とカンファレンス準決勝の両方で第7戦を経験している。
勝負所での失敗も、シリーズを勝ち抜いた経験も、最後に敗れた悔しさも知った。
昨季までは経験不足だった選手たちも、今季は同じ状態ではない。
カニングハム、デューレン、アサーが昨季の経験を自分たちの成長へ変えられれば、外部から大物選手を加えなくても、プレーオフで違う姿を見せる可能性はある。
ただし、一度プレーオフを経験しただけで、勝ち方をすべて理解できるわけではない。
同じように勝負所で慌て、昨季と同じ敗退を繰り返す可能性も残っている。
今季は、若手が経験から学べるチームなのかを確認するシーズンになる。
トレード期限までの動きが重要になる
現時点で、ピストンズのシーズンを断定するのは早い。
カニングハム、デューレン、アサーがどこまで成長するのか。
コリンズやアイザイア・ジョーが、チームへどのように加わるのか。
昨季リーグ上位だった守備を維持できるのか。
実際にシーズンが始まらなければ分からないことは多い。
だからこそ、ピストンズにとっては開幕後からトレード期限までの判断が重要になる。
若手の成長だけで十分だと判断するのか。
それとも、プレーオフを勝ち抜くために経験豊富なリーダーを加えるのか。
単純に名前の大きな選手を獲得すればいいわけではない。
若手の出場時間を奪わず、カニングハムを中心としたチームを受け入れ、自分の役割を献身的に果たせる選手でなければならない。
ピストンズの今季は、開幕時点のロスターだけでは評価しきれない。
シーズン中に何が足りないと判断し、フロントがどう動くのか。それによって、プレーオフでの結果も大きく変わると思う。
ピストンズの2026-27開幕前評価

| 評価項目 | 点数 |
|---|---|
| 攻撃力 | 17/20 |
| 守備力 | 17/20 |
| 選手層 | 16/20 |
| リバウンド | 17/20 |
| 継続性・完成度 | 14/20 |
| 総合評価 | 81/100 |
攻撃力、守備力、リバウンドには高い能力がある。
カニングハム、デューレン、アサーを中心とした若い主力には、さらに成長できる余地も残されている。
一方で、今オフの入れ替えによって昨季の組織力をそのまま維持できるとは限らない。
プレーオフでチームをまとめるリーダーが見当たらないこともあり、継続性・完成度は14点とした。
総合評価は81点。
決して低い点数ではない。
しかし、今季のイースタン・カンファレンスは非常に混戦になると予想している。
ヒート、76ers、ニックス、キャバリアーズ、セルティックスなど、上位を狙えるチームが多い。
ピストンズが昨季より大きく弱くなったと考えているわけではない。
それでも、これらのチームを並べれば、順位が6位になっても不思議ではない。
わずかな連敗や主力の欠場で、順位が大きく変わる可能性がある。
反対に、若手が想像以上に成長すれば、再び上位へ入る力もある。
レギュラーシーズンは東6位と予想
自分は、ピストンズのレギュラーシーズンを東6位と予想する。
昨季東1位から6位まで下がる予想だけを見れば、かなり厳しく評価しているように見えるかもしれない。
しかし、これはピストンズを弱いと考えているからではない。
今季の東は、上位候補の戦力差が小さい。
81点の力があるチームでも6位になり得るし、少し歯車が狂えばプレーインへ回る可能性もある。
逆に、カニングハムがさらに成長し、デューレンとアサーが安定して活躍すれば、2位や3位まで上がっても驚かない。
それほど予想が難しい混戦状態だと思う。
プレーオフは1回戦敗退の可能性もある
現時点では、ピストンズがプレーオフ1回戦で敗退する可能性もあると見ている。
東6位なら、1回戦から優勝を狙える上位チームと対戦することになる。
プレーオフでは、レギュラーシーズン以上にハーフコートでの攻防が増え、同じ相手から何度も弱点を狙われる。
昨季と同じように勝負所で経験不足が表れれば、第7戦まで進む前に敗退する可能性もある。
ただし、これは現時点での予想にすぎない。
シーズン途中に献身的なリーダーを獲得し、若手が昨季の経験を成長へ変えられれば、カンファレンス準決勝以上へ進む力もある。
ピストンズは、結果の振れ幅が非常に大きいチームだと思う。
まとめ|才能はある。必要なのは勝ち方を知ること
ピストンズには、将来性がある。
カニングハムにはスーパースターになれる素質があり、デューレンとアサーにもチームの中心を担える能力がある。
昨季は60勝を挙げ、東1位になった。
それでも、プレーオフを勝ち抜くには足りないものがあった。
勝負所での判断。
シリーズを通して相手の対策へ対応する経験。
苦しい時間帯にチームをまとめるリーダー。
そして、個人の数字より勝利を優先できる献身性だ。
今オフの補強でシュート力は増した。
しかし、オフェンスはディフェンスから始まる。
昨季の強みだった守備を失えば、速い攻撃も減り、カニングハムへの負担が大きくなる。
新しい選手たちが昨季の守備強度を維持できるのか。
若手がプレーオフでの失敗を成長へ変えられるのか。
そして、フロントがトレード期限までに足りないものを見極められるのか。
ピストンズが混戦のイーストを勝ち抜くためには、この三つが重要になる。
才能だけで見れば、上位へ進む力はある。
今季問われるのは、その才能を勝利へ変える方法を、チーム全体で身につけられるかどうかだ。


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