2025-26シーズン、サンアントニオ・スパーズは62勝20敗を記録し、ウェスタン・カンファレンス2位でレギュラーシーズンを終えた。
プレーオフではウェスタン・カンファレンス決勝でオクラホマシティ・サンダーとの第7戦を制し、NBAファイナルへ進出した。
しかし、NBAファイナルではニューヨーク・ニックスに1勝4敗で敗退した。
シリーズの勝敗だけを見れば、ニックスに大きな差をつけられたようにも見える。
ただ、実際には第2戦と第4戦が1点差だった。さらに、ニックスが勝った4試合では、スパーズがすべて一度は二桁のリードを奪っていた。
スパーズはファイナルで何もできなかったわけではない。
勝てるところまでは行っていた。
それでも、その試合を最後まで勝ち切れなかった。
2026-27シーズンのスパーズを見るうえで重要なのは、昨季ファイナルへ進出したことだけではない。
なぜリードを守れなかったのか。
その経験を、今季の勝利へ変えられるのか。
今回は、昨季の戦いを振り返りながら、スパーズの開幕前戦力を考えてみたい。
※この記事は2026年8月3日時点の情報をもとにしています。
※成績や移籍情報はNBA公式サイトを参照しています。採点と順位予想は筆者個人の見解です。
2025-26シーズンのスパーズ
まず、昨季の基本成績を確認しておきたい。
| 項目 | 2025-26シーズン |
|---|---|
| レギュラーシーズン | 62勝20敗 |
| ウェスト順位 | 2位 |
| 平均得点 | 119.8点(NBA3位) |
| 平均リバウンド | 47.0本(NBA2位) |
| 平均アシスト | 28.1本(NBA9位) |
| 平均失点 | 111.5点(NBA8位) |
| プレーオフ | 13勝10敗 |
| 最終結果 | NBAファイナル進出 |
前年の2024-25シーズンは34勝48敗だった。
そこから一気に28勝を上積みし、NBAファイナルまで進んだことを考えれば、昨季のスパーズはリーグで最も大きく成長したチームの一つだったといえる。
しかも、単にウェンバンヤマとディアロン・フォックスだけで勝ったチームではない。
ステフォン・キャッスル、ディラン・ハーパー、デビン・バッセル、ジュリアン・シャンペニーらが、それぞれの役割を果たしていた。
ファイナルまで進んだ昨季の戦いを見れば、スパーズはすでに「ウェンビーとフォックスだけのチーム」ではないことが分かる。
昨季最も印象的だった、ウェンバンヤマの勝利へのこだわり
昨季のウェンバンヤマを見ていて、私が最も印象に残ったのは、数字以上に勝利へこだわる姿勢だった。
得点、リバウンド、ブロックで大きな数字を残しても、チームが負ければ満足していないように見えた。
個人成績によって自分を評価するのではなく、試合に勝ったかどうかを重く受け止めている。
もちろん、これは私が試合を見て感じた印象であり、本人の内面を断定するものではない。
それでも、ウェンバンヤマがプレーや態度で示した勝利への執着は、若いスパーズが一気にファイナルまで進んだ理由の一つだったと思う。
スパーズには高い能力を持つ若手が多い。
しかし、若い選手が多いだけでは強いチームにはならない。
ウェンバンヤマの勝利へのこだわりがチーム全体へ広がり、それぞれの選手が自分の役割を受け入れたからこそ、昨季の躍進につながったのではないか。
最大の強みも弱点も「若さ」
今季のスパーズを考えるうえで、最大の強みは若さだと思う。
ウェンバンヤマはまだ22歳。キャッスルやハーパーにも、さらに成長する余地がある。
昨季ファイナルまで進んだメンバーが、同じ経験を共有したまま成長していく。
これは他の優勝候補にはない大きな強みだ。
一方で、最大の弱点も若さになる。
昨季のNBAファイナルで、スパーズは何度も大きなリードを奪いながら、ニックスに逆転を許した。
勝ち方を知らなかったと簡単に片づけることはできない。
しかし、試合終盤に相手が守備や選手の組み合わせを変えたとき、スパーズが十分に対応できなかった場面はあった。
焦って攻撃が単調になり、ボールが止まる。
守備では一つのミスから相手の流れを止められなくなる。
そうした小さな判断の差が、ファイナルでは勝敗へ直接つながった。
スパーズの最大の武器は若さであり、最大の不安も若さである。
今季は、この若さを成長力として見せられるのか。それとも、再び経験不足として出してしまうのか。
そこが大きな分岐点になる。
経験不足だったのは選手だけではない
昨季の経験不足を考えるとき、若い選手だけを見るべきではない。
ミッチ・ジョンソンHCにとっても、正式なHCとして迎える初めてのNBAプレーオフとファイナルだった。
ジョンソンHCは、スパーズの組織で長く指導経験を積んでいる。
Gリーグのアシスタントを経験し、グレッグ・ポポビッチのスタッフにも加わっていた。2024-25シーズンには、ポポビッチが離脱したあと77試合で代行を務めている。
そのため、単純に指導経験のないHCではない。
実際、正式就任1年目で62勝を挙げ、チームをNBAファイナルへ導いた手腕は高く評価すべきだろう。
ただし、NBAファイナルでの采配は初めてだった。
シリーズ中に相手が戦術を変えたとき、どのように修正するのか。
タイムアウトをいつ使うのか。
誰をコートへ残し、どの組み合わせで試合を終わらせるのか。
選手だけでなく、HCにもファイナルでなければ得られない経験がある。
昨季の敗戦を最も成長へつなげられるのは、選手だけではなくジョンソンHCかもしれない。
レギュラーシーズンとプレーオフでは戦い方が変わる
対戦相手への対策は、レギュラーシーズンにも存在する。
プレーオフだけで突然始まるものではない。
ただし、レギュラーシーズンでは次々に対戦相手が変わるのに対し、プレーオフでは同じ相手と短期間に最大7試合を戦う。
第1戦で成功した攻撃が、第2戦では封じられる。
そこで別の答えを出しても、第3戦ではさらに対応される。
NBAで活躍できるほどの選手たちを相手にする以上、相手が変化へ気づくのも、対策するのも早い。
その対策に対して、さらに早く答えを出すこともプレーオフで勝つための能力になる。
そして、これは選手だけの問題ではない。
コーチ陣が相手の変更を見抜き、新しい戦い方を準備する。
選手がその意図を理解し、コート上で実行する。
さらに試合中には、選手自身が状況を判断する。
スパーズに対応力がなかったわけではない。
対応できないチームなら、サンダーとの第7戦を勝ち抜き、NBAファイナルまで進むことはできなかっただろう。
ただ、ニックスとのシリーズでは、相手が出してくる次の答えに対応し続けるだけの経験と完成度が、最後に少し足りなかったのだと思う。
フォックスはファイナルで失速したのか
昨季のファイナルでは、フォックスの動きも気になった。
私には、シリーズが進むにつれて動きが重くなり、本来のスピードを十分に出せなくなったように見えた。
実際、フォックスはレギュラーシーズンで平均18.6得点、フィールドゴール成功率48.6%を記録していた。
しかし、NBAファイナルでは平均12.8得点、フィールドゴール成功率34.3%、3ポイント成功率25.0%まで数字を落としている。
| フォックスの成績 | レギュラーシーズン | NBAファイナル |
|---|---|---|
| 平均得点 | 18.6 | 12.8 |
| FG成功率 | 48.6% | 34.3% |
| 3P成功率 | 33.2% | 25.0% |
| 平均アシスト | 6.2 | 6.0 |
ただし、この数字だけで原因を疲労と断定することはできない。
ニックスの守備、プレーオフを通した負担、シュート不調、どこかに故障を抱えていた可能性など、複数の理由が考えられる。
重要なのは原因を決めつけることではない。
フォックスのスピードと得点力が落ちたときにも、別の形で勝てるかどうかだ。
ウェンビーが抜けた時間にも、同じ波を作れるか
私が今季のスパーズで最も重要だと思うのは、特定の若手がどれだけ数字を伸ばすかではない。
ウェンバンヤマがベンチへ下がった時間にも、チームの流れを変えずに戦えるかどうかだ。
ウェンバンヤマがコートにいれば、守備ではゴール下に大きな制限をかけられる。
攻撃でも、相手は常にウェンバンヤマの位置を意識しなければならない。
しかし、彼が下がれば相手の攻め方も守り方も変わる。
その時間をフォックス、キャッスル、ハーパー、バッセルらがどうつなぐのか。
ウェンバンヤマがいないから耐えるのではなく、別の形で相手へ圧力をかけ続けられるのか。
昨季のスパーズは、ウェンバンヤマ一人に依存するだけのチームではなかった。
だからこそ今季は、彼が抜けた時間にも同じ強度を維持できるチームへ進んでほしい。
シャンペニーの残留も大きい
今オフ、スパーズはジュリアン・シャンペニーと新たに3年契約を結んだ。
昨季のシャンペニーは全82試合に出場し、平均11.1得点、5.8リバウンド、3ポイント成功率38.1%を記録した。
ウェスタン・カンファレンス決勝第7戦では、6本の3ポイントを決めて20得点。サンダーを倒すうえで重要な働きを見せた。
スーパースターだけでは、長いシーズンやプレーオフを勝ち抜けない。
ウェンバンヤマやフォックスが相手の守備を集めたとき、シャンペニーのような選手が迷わずシュートを決められるか。
主力を残しながら、こうした役割を担う選手を維持できたことは大きい。
西を制するなら、サンダーは避けて通れない
今季もスパーズが西地区を勝ち抜こうとするなら、最大の壁はサンダーになると私は考えている。
昨季のウェスタン・カンファレンス決勝は、第7戦までもつれた。
スパーズは勝ったが、両チームに大きな差があったわけではない。
もちろん、今季も西地区決勝で対戦するとは限らない。
レギュラーシーズンの順位や他チームの結果によっては、もっと早い段階で対戦する可能性も、対戦しない可能性もある。
それでも、ウェンバンヤマを中心とするスパーズと、シャイ・ギルジャス=アレクサンダーを中心とするサンダーは、これから何度も西の頂点を争う関係になるのではないか。
スパーズにとってサンダーは非常に厳しい相手だ。
しかし、NBAファイナルへ戻るためには避けて通れない、宿命の相手になりつつあると思う。
スパーズの2026-27開幕前評価
私の開幕前評価は90点とした。

| 評価項目 | 得点 |
|---|---|
| 攻撃力 | 19/20 |
| 守備力 | 18/20 |
| 選手層 | 18/20 |
| リバウンド | 19/20 |
| 継続性・完成度 | 16/20 |
| 合計 | 90/100 |
攻撃力とリバウンドは、昨季の成績を考えてもリーグ上位と評価できる。
選手層も、ウェンバンヤマとフォックスだけでなく、キャッスル、ハーパー、バッセル、シャンペニーらがいる。
一方、最も低くしたのは継続性・完成度だ。
昨季の主力が大きく崩れていないという意味では、継続性は高い。
しかし、NBAファイナルで何度もリードを守れなかったことを考えると、試合を終わらせる完成度については、まだ満点に近い評価はできない。
この16点には、選手の若さだけでなく、ジョンソンHCを含めた大舞台での経験も含めている。
レギュラーシーズンは西2位と予想
私のレギュラーシーズン予想は、昨季と同じ西地区2位だ。
戦力だけを見れば1位を狙える。
ただし、西地区にはサンダーをはじめ、長いシーズンを勝ち抜けるチームが複数ある。
さらに、スパーズにとって本当に重要なのは、レギュラーシーズンで1位になることだけではない。
主力へ負担をかけすぎず、若手を成長させ、プレーオフで使える組み合わせを増やす。
そのうえでホームコート・アドバンテージを確保できる上位へ入ることが理想だと思う。
順位だけを昨季と比較すれば、西2位では成長していないようにも見える。
しかし、レギュラーシーズンとプレーオフでは求められる戦い方が違う。
昨季と同じ順位でも、プレーオフで相手の対策へより早く対応し、再びファイナルへ進めれば、チームは確実に前へ進んだといえる。
合格ラインはNBAファイナル進出
今季の合格ラインは、NBAファイナル進出としたい。
昨季ファイナルまで進んだ以上、それより前に敗退すれば、結果だけを見れば後退になる。
ただし、優勝できなければすべて失敗だとまでは考えていない。
スパーズは完成されたベテラン中心のチームではなく、今も成長の途中にある若いチームだ。
もう一度サンダーをはじめとする西の強豪を倒し、ファイナルへ戻ることができれば、昨季の躍進が偶然ではなかったことを証明できる。
ファイナル進出で合格。
優勝なら期待以上。
そのくらいの基準が、現在のスパーズには合っていると思う。
まとめ|若さを経験へ変えられるか
昨季のスパーズは、ウェンバンヤマとフォックスだけのチームではなかった。
キャッスル、ハーパー、バッセル、シャンペニーらを含めたチーム全体の力で、西地区を勝ち抜いた。
最大の強みは若さ。
最大の不安も若さ。
昨季のNBAファイナルで経験不足だったのは、選手だけではない。ジョンソンHCを含めたチーム全体が、初めて経験する舞台で勝ち方を探していた。
今季は、相手の対策にどれだけ早く対応できるのか。
フォックスの調子が落ちたとき、別の選手が試合を動かせるのか。
ウェンバンヤマが下がった時間にも、同じ強度を維持できるのか。
そして、西地区最大の壁となるサンダーを、もう一度越えられるのか。
昨季は、若さがスパーズをNBAファイナルまで押し上げた。
今季は、その若さを経験へ変え、最後の一歩を進めるかが問われるシーズンになる。


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